2015年3月23日、長野県で起きた飲酒運転による死亡事故を覚えていますでしょうか?
横断歩道を渡っていた当時中学生の和田樹生さん(15歳)を44メートル跳ね飛ばし、死亡させたとして、池田忠正が逮捕された事件です。
8年の時を経て、2023年9月28日に、逆転無罪という判決が下されたというニュースが飛び込んできました。
飲酒運転をした上に、死亡事故を起こしているにも関わらず、無罪ってどういうこと?って感じですよね。
実は、池田忠正は様々な罪に掛けられており、その中の1つが逆転無罪判決に至ったという経緯のようでした。
とは言っても、どこをどう切り取れば、池田忠正が無罪になる要素があるのか気になったので、
- 池田忠正が逆転無罪を勝ち取ったのはなぜ?
- 無罪判決に至ったポイント
を、調査していきたいと思います。
池田忠正の逆転無罪はなぜ?
なぜ、池田忠正は無罪判決を勝ち取ったのでしょうか?
その経緯をまとめていきたいと思います。
過失致死罪での有罪は確定
まず、ポイントなのは、池田忠正は過失運転致死傷罪では有罪判決が既に下されているんですね。
2015年9月に、飲酒運転の事故に対して”過失運転致死傷罪”で
- 禁錮3年
- 執行猶予5年
上記の内容の有罪判決が確定しています。
そもそも、飲酒運転での死亡事故に対して、刑が軽すぎるような気もしますよね…。
実は、この事故で、飲酒運転ではあるものの、酒気帯び運転の基準値未満であることから飲酒による危険運転致死傷罪は見送りとなり、過失運転致死傷罪として確定しています。
罪の違いは?
過失運転致死傷罪:自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた際に適用される犯罪である。
危険運転致死傷罪:自動車の危険な運転によって人を死傷させた際に適用される犯罪類型である。

ご遺族からしたら、これから将来が楽しみな中学生の息子が、飲酒運転での交通事故で亡くなってしまったのに、刑が軽くなってしまうのは、やるせないですよね。
しかし、裁判では、一事不再理という、一度判決が確定している罪を、再び裁くことは出来ないという決まりがあるんです。
そこで、ご遺族は新たな罪で、池田忠正に実刑判決を求めることにしたようです。
救護義務違反(ひき逃げ)の罪は逆転無罪
この判決を受け、遺族が新たに、
- 道路交通法「速度超過罪」(スピード違反)
- 道路交通法「救護義務違反」(ひき逃げの罪)
この2つの罪で、告訴していたようです。
しかし、1つ目のスピード違反の方では、2019年3月に公訴棄却の判決が下されてしまいます。
公訴棄却とは?
検察官が裁判所に対して、犯罪を行った疑いのある人物につき裁判所の審判を求める公訴の提起が、裁判所によって受理されず、手続きが打ち切りになることをいいます。 犯罪事実に関する審理に入らずに、門前払いとなります。
今回逆転無罪判決となったのは、2つ目のひき逃げの罪です。
ひき逃げの罪で、長野地裁は2022年11月、懲役6月(求刑懲役1年)の実刑判決を言い渡していました。
しかし、池田忠正側がこの判決を不服に思い、2022年12月に控訴しました。
そして、東京高裁で、2023年9月28日に、長野地裁の判決を破棄し、逆転無罪という判決に至ったようです。

無罪判決となった4つのポイント
池田忠正が逆転無罪を勝ち取ったのは、道路交通法「救護義務違反」(ひき逃げの罪)に対する判決に対してです。
一度は長野地裁から、ひき逃げの罪で懲役6月(求刑懲役1年)の実刑判決を言い渡されたのにも関わらず、東京高裁では逆転無罪となってしまいました。
逆転無罪の判決になったポイントは、池田忠正は、ひき逃げをするつもりはなく、被害者を救護する意思があり、実際に救護も行なっていたという部分です。
事故発生時の、池田忠正の一連の行動内容がこちらです。
【事故後の被告人の行動】
被告人は、衝突地点からおよそ95メートル先で車を停止させた。
人をはねたと思って現場に向かい、午後10時8分ごろ、横断歩道付近で靴や靴下を発見し、およそ3分間、捜すなどしたが、被害者を発見することができなかった。
10時11分ごろ、車に戻りハザードランプを点灯させた後、飲酒運転がばれないようにと考え車からおよそ50メートル移動し、10時12分ごろ、コンビニで口臭防止用品を購入し、服用した。
その後、現場に向かい、被害者が発見されると駆け寄り、人工呼吸をするなどした。
その場に到着した被告人の友人が、10時17分ごろ、119番通報した。
ー引用:Yahoo!ニュースより
要点をまとめると、
- 事故現場を離れたのは、被害者を見つけることが出来なかったから
- コンビニに行ったのは1分ほどの行為
- 事故現場に戻ってきたので、逃げようという意思は無かった
- 被害者を発見すると、人工呼吸などをして、救護にあたった
という4つ点から、ひき逃げに対する罪には値しないと、東京高裁は無罪判決を言い渡すという結果になりました。
飲酒運転を隠蔽しようと、コンビニで口臭防止用品を購入しに現場を離れたが、それはひき逃げとは言わないということです。
一度は実刑判決を言い渡されていたこともあり、遺族からすると、辛い結果となってしまいました。
池田忠正の逆転無罪まとめ
以上、池田忠正の逆転無罪はなぜ?無罪判決となったポイントを解説!と題して、池田忠正の無罪判決について詳しく調査させていただきました。
まずポイントなのが、飲酒運転での死亡事故に対しては、既に有罪判決が下されていたということですね。
そして、新たにひき逃げという罪に掛けられていた池田忠正が、一度は実刑判決を言い渡されたものの、東京高裁で逆転無罪となったという経緯でした。
しかし、有罪判決で下されていた、
- 禁錮3年
- 執行猶予5年
という内容も、だいぶ軽いように感じてしまいます。
遺族のこの刑の内容では納得できないという気持ちも、わかりますよね。
しかし、ひき逃げの罪には当たらないとし、無罪判決となってしまいました。
この判決は正しいのか、それとも…